鹿児島産うなぎの養殖法
自然に恵まれた温暖な気候を持つ鹿児島県は、うなぎの生産量が日本一です。特に大隅半島のシラス台地は、雨水を長い時間を掛けてろ過するため、清浄な地下水を生み出します。平成の名水百選に選ばれた湧き水もあり、この名水を利用した養殖場もあります。うなぎは淡水養殖魚であるため、水の良し悪しが養殖に影響を与えます。
また鹿児島のうなぎ養殖場には砕石が敷かれ、自然に近い環境で育てられています。まず1月下旬から3月上旬に海から河に泳いでくるシラスウナギを捕らえ、養殖池で育てます。捕らえた時の体重はおよそ0.2g程度です。そして毎日早朝に餌やりをしますが、水質管理は徹底して行われます。衛生面には注意を払い、砕石の洗浄は怠りません。砕石が不衛生になると水が汚れて、うなぎの生育に影響するからです。水温管理も重要です。うなぎは10度以下で動きが不活発になり、8度以下になると冬眠します。
鹿児島の養殖場の例では、16度から30度になるように重油を燃やし、水温を調節します。この温度調整がうなぎの成長を助けます。通常、養殖池に入れてから6か月から2年でおよそ200g前後に育ち、鹿児島産の食用うなぎとして出荷が可能になります。
鹿児島産うなぎの味わい
鹿児島産うなぎは、例えば静岡産に比べると肉に厚みがあり、脂分が多いために濃厚な味わいがあります。身を開いて串刺しにした蒲焼は人気があって、鹿児島では丁寧に4度焼いて仕上げる店もあります。また白焼では炭火を使いますが、炭火はうなぎから余分な水分と脂分を飛ばすため、旨味が凝縮されます。その他、鹿児島産は刺身で食べることもできます。
これは鹿児島産の特徴ですが、きれいな淡水で育ったためにうなぎ特有の臭みが少なくなるからです。蒸し焼きも好まれる食べ方で、時間を掛けて丁寧に蒸すことで、身がふっくらと仕上がります。これには少し甘めのタレが好まれています。通販によって販売される場合は、身の中心がマイナス20度以下になるよう急速冷凍して品質を保ちます。
この温度で冷凍することで、味と鮮度、風味を保つことが可能になります。家庭で食べる場合は、解凍後に軽くあぶると香ばしくなります。タレの他に柚子胡椒やわさびを付ける食べ方もあります。電子レンジを使う場合はラップを掛けて、600Wなら1分程度加熱すると元の状態に戻ります。工夫した食べ方としては、蒲焼を細かくして混ぜ込みご飯にしたり、パイにしたりと様々なレシピがあります。