知る人ぞ知る一色産ブランド
全国的なうなぎの名所といえば、静岡県の浜名湖ですが、同じ東海地方の愛知県もうなぎの養殖が盛んな地として知られています。中でも西三河地方の西尾市にある一色町では、全国生産量の約2割を占めるほど、うなぎ養殖が盛んです。当地で養鰻が開始されてのは明治37年(1904年)で、昭和34年の伊勢湾台風で被災してからは、農地をうなぎの養殖場に転用する動きが広がりました。
現在では、100軒ほどの業者が「一色ブランド」のうなぎ養殖に取り組んでいます。但し、地元の一色町では鰻は親戚や知り合いから手に入るため、専門店の数が比較的に少なくなっています。そうした穴場にもかかわらず、隠れた名店となっているのが漁協直営店の「一色うなぎ」です。因みに、一色漁港は愛知県の西三河地方で最大規模になっており、小型底引き網漁を中心として真鯛やヒラメ、そしてアサリなどが水揚げされています。
漁港には様々な店舗が立ち並ぶ「一色さかな広場」があり、その場で新鮮な魚介を焼いて味わうことも出来ます。一色さかな広場の中にある「一色うなぎ」は、一色うなぎ漁業協同組合の直営店で、店頭で焼きたての長焼きを販売しています。店内では、定番のうな重をはじめ、細切りの蒲焼きを使った「うなぎまぶし丼」等が食べられます。
「うな姫」は長焼きがおすすめ
一色町では、産地ゆえの値段の安さに加えて、新鮮なうなぎの味を思いっきり堪能できます。愛知県では、鰻を蒸さずに焼き上げる「地焼き」が主流となっており、皮がカリッとして、身がふんわりなのが特徴です。当直営店では、その真髄が味わえるわけです。
その他、一色うなぎを味わえる店としては、地元の人が多く訪れる「和食 潮浜」があります。この店では、その日に仕入れた魚介を使って、煮魚や刺し身などバラエティに富んだメニューを提供しています。特に鰻に関しては、6月下旬から9月下旬まで限定で出荷される「うな姫」というブランドを使っており、臭みが全く無く身がやわらかいのが特徴です。
また、うな姫は飼料にもこだわりがあり、脂ののりが抜群で、上品な口どけが楽しめます。うな姫の味わいを存分に堪能するには、長焼き以外には考えられず、潮浜でもひつまぶしは用意していません。中でも、鰻を一尾丸ごと使ったうなぎ重は、焼きの技術が存分に発揮された逸品で、職人の自信が現れています。身は箸でサクッと切れ、たまり醤油をベースとする自家製ダレが旨味を引き出しています。また、同じくおすすめの白焼きは、塩や生姜醤油、そしてワサビ醤油の3通りの味が楽しめ、皮の香ばしさと白身の淡白な味わいが調和します。