やはり食べ過ぎが原因?
スーパーなどの市場に出回っているもののほとんどは養殖うなぎだから、レッドリストのことは関係ないだなんて思わないでください。実は、養殖のうなぎも元々は天然なのです。というのも、うなぎを卵から育てる技術がまだ確立されておらず、ほんの10年ほど前まではどこに産卵しているのかも全く分かっていませんでした。
なので河口付近でシラスウナギと呼ばれている稚魚を捕獲し育てたものが養殖として販売されています。
このシラスウナギの漁獲量が、60年ほど前には200トン以上あったのが、2016年には13.6トンまで激減しているのです(水産庁調べ)。
しかも近年はこの数がなかなか安定せず、うなぎが国際自然保護連合(IUCN )によってレッドリストに掲載された2014年の前年の漁獲量はなんと5.2トン。そこから比較すると昨年は豊漁だったということになります。この大幅な漁獲量の変動がうなぎの価格の高騰に繋がっているのです。
レッドリストに載ったことで、世界中からうなぎが注目されるようになり、絶滅危惧種を保護するために国際取引を規制するワシントン条約のリストにうなぎが追加される可能性が非常に高くなりました。2010年に初めて成功したという完全養殖が実用化されない限り、近い将来うなぎが食べられなくなる日が来てしまうかもしれません。
追い込まれているうなぎの住環境
東アジアを主な生息地としている二ホンウナギは、マリアナ海溝沖で卵を産み、そこで孵化した稚魚たちは黒潮に乗って日本の沿岸付近に流れ着くということが分かっています。そのタイミングで行われるのがシラスウナギ漁です。一番有名なのは高知県の四万十川といったところでしょうか。関東でも埼玉県の利根川や神奈川県の相模川など、意外と身近なところに生息していることがわかります。
ところが、ダムの開発や堤防の設置などによる環境の変化によって成長過程で川の上流に行くことができなかったり、そもそも沿岸付近に近づくことができなかったりして命を落としてしまうといったケースが増えているのです。また、地球温暖化の影響で卵の産卵場所が南下していることもうなぎが激減している原因の1つとして考えられています。産卵場所が本来の位置からずれてしまうことで黒潮の海流に上手く乗ることができずに最終的には死んでしまいます。
このようにして成魚になる数が減少しているので、全体的な数が減るのも当然の結果と言うことができます。ですが、沿岸開発も温暖化も人工的に引き起こされたものです。人間の取る行動がうなぎたちの未来を大きく左右させるのだと言えることは間違いないでしょう。今後、うなぎを生かすも殺すも、全てはあなたの手にかかっているのです。