うなぎとあなごの違い
ウナギはウナギ目ウナギ科に属するのに対して、アナゴはウナギ目アナゴ科に属する魚です。生態の面ではウナギが海で産卵したのち河川に遡上する回遊魚、アナゴは海水魚という違いがあります。
一見すると似たような外見をもつ両者は間違えられることもしばしばですが、分かりやすい外見上の見分け方として尾びれがあり、ウナギの尾びれは少し丸みがありますが、アナゴの尾びれは尖っています。また、ウナギは黒っぽいのに対して、アナゴは灰色に近い色をしています。
食べたときの味は、人によっては似たようなものに感じられるといいますが、ウナギはアナゴに比べて倍近い脂肪を含んでいるために、ウナギの方がこってりして脂ののった濃厚な味です。食べ比べるとすぐに分かるので、同時に食べる機会がほとんどないことから似たような味であるというイメージが先行したのでしょう。忘れてはいけない両者の違いに値段があります。
高級なイメージのとおり、ウナギの方がアナゴに比べて2〜3倍高く、安い中国産のものならまだしも、国産で天然ものとなればその値段は急激に高騰します。アナゴは国産のものであってもそこまで値段が高騰することはありません。
うなぎと日本人の文化
両者にはもうひとつ大きな違いがあります。それは日本人の文化との関係です。最も有名な例では今も残る風習、土用の丑の日があげられます。暑い夏に夏バテしないようにと栄養価の高いうなぎを食べることは古来から行われてきたひとつの知恵ですが、なぜ土用の丑の日に食べるという風習ができたのかご存知ですか?
実はこれ、平賀源内による発案だと言われています。繁盛しないうなぎ屋が平賀源内にどうしたら繁盛するようになるかと相談したところ、平賀源内は丑の日は「う」からはじまるものを食べると夏バテしなくなるという風習を利用し、その店を大繁盛させました。この風習が定着し、今でも土用の丑の日にはうなぎを食べるようになったのです。
また、うなぎと日本人の食文化には切っても切り離せない深い関係性があり、独特の形状をしたうなぎを調理するための鰻裂き包丁という専用の道具や目打ちなどの独特のさばき方が発展するなど、うなぎが日本人にとって長く愛されてきたのだということが分かります。さらに、うなぎのぼりという言葉にも見られるように食文化以外にも大きな影響を与えています。このようにあなごにはない日本文化との深い関わり合いが、うなぎの最大の特徴といえるでしょう。